散歩するように生きる

リタイア後の日々の暮らしと趣味と日本語教育のこと

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中庭を思う

 家の小さい中庭は、冬の間は木も葉を落とし殺風景になりますが、初夏になると2本の木の葉が繁り、いつの間に生えたシダも大きくなって、家の中から見ると涼しげな雰囲気になります。苔もしっとりと美しく、今はキキョウやギボウシが咲き始めています。

 

 

 奥に見える石灯籠は、私の仙台の実家からはるばる送ってもらったものです。東日本大震災でこの灯籠も倒れました。その頃自宅で療養中だった父は、震災後のちょうど今頃の時期に他界し、その後、家を処分した母が私たちの新築に合わせて送ってくれたのでした。

 哲学者だった父は、だいぶ横暴なところがあり私はぶつかってばかりいましたし、いい思い出があまりありません。しかし震災の前から闘病が始まり、震災を経て、静かに執筆しながら療養していた姿を時々思い出します。お通夜に来てくれたお坊さんが、「哲学者だった故人は、あの世でも震災の経験や意義を皆に講義をしているでしょう」と話してくれたのは印象的でした。

 いつの間に、私もリタイアし庭なんかをしみじみ眺める年齢になったのは驚きです。これからどんな風に歳を重ねていくのかな、と考えたりもします。

 キキョウもギボウシも、生協で注文した苗を無造作に植えたものですが、毎年花を咲かせてくれます。