散歩するように生きる

リタイア後の日々の暮らしと趣味と日本語教育のこと

※ 当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

ボランティア団体を法人にする:その2 定款作成から認証へ

11月6日に少し内容を編集しました。

ボランティア団体から一般社団法人へ

 私は14年近く、ボランティア団体を運営してきましたが、法人を目指すことにしました。その経緯は、以下に書きました。

mahiruf.hatenablog.com

 一般的にボランティア団体が法人化する場合には、NPO法人特定非営利活動法人)になることが多かったと思います。営利を目的としない団体が法人格を得るために作られた制度です。しかし、この制度は団体の目的が定められた20分野の非営利事業に限られることや、メンバーの人数の要件が厳しいのが特徴です。

 一般社団法人とNPO法人の2つの法人で大きく異なることの1つは、設立時に何人のメンバーを集めるかというところになるかと思います。正確には「社員」と呼びますが、会社の従業員としての社員ではなく、議決権を持ついわゆる正会員のような意味合いを持ちます。NPO法人は10人必要となり、非営利型の一般社団法人は3人が必要です。これは同じ志を持つ仲間を集めることになりますが、設立手続きとして実印の押印と印鑑証明書や住民票が必要となる書類もあり、10人分の書類を集めようとするとたいへんな作業となってしまいます。

 また、手続きを終えた今、結構大きいなと思ったのは、設立にかかる費用の違いです。一般社団法人の設立の場合、定款認証の手続料5万円と謄本代が数千円、登録免許税6万円がかかりますが、NPO法人はかかりません。

 私たちのような小さい団体がどちらの法人を目指すか迷いましたが、多少お金はかかってもNPO法人設立の要件を満たすのにかなり苦労すると思われたため、非営利型の一般社団法人を目指すことにしました。

 写真は、まず第一関門の定款の認証を受けた際のお祝い(?)のうなぎです。

   

メンバーを集めて定款を作る

 法人を作るなど、これまで全く縁のなかったことでしたが、私たちの団体が受けた助成金の審査員で、かつ以前勤務していた大学で少しお話をしたことのある先生に背中を押していただき、具体的な法人化のプロセスなどについてアドバイスをいただくことができました。細かいことはわからないことも多かったのですが、今はWEBサイト上にも情報が多くあり、一つ一つ確認しながら進めていきました。

 まず定款を作るところから始めます。定款は、その団体が何を目的とするのかなどの理念が書かれるもので、ここから全てはスタートするという意味でも大事なものだと感じました。法人に限らず、何か迷ったときは、最初の目的に立ち返ることが原則だと思いました。

 定款のひな形はネット上で探すことができるので、これを使いました。

 非営利型の一般社団法人では、3人の理事が必要です。また信頼性を高めるために監事も置くことにしました。しかし理事会は設置しないことを選択しました。法人化を決心するきっかけとなった教科書を一緒に作った仲間と、これまでボランティアを一緒に続けてきた仲間などに声をかけ、理事になってもらうことにしました。監事も仕事仲間に依頼しました。理事になるためには、実印の押印と印鑑登録証が必要になります。そのため、それほど簡単にお願いできることではなく、これまでのお付き合いや信頼関係が大事なのだと改めて思いました。

非営利型の一般社団法人の定款に記すべきこと

 非営利型の一般社団法人がどのような活動ができるのか、なかなか理解が難しかったことの1つです。収益を出すような活動をしてはいけないのかとも思いましたが、そうではありません。収益を出す事業を行ってもいいし、役員に報酬を支払っても構わないのですが、剰余金を社員(会員)に分配を行わないことや、法人を解散したときに、残余財産を国・地方公共団体や一定の公益的な団体に贈与することを定款で定めていることが必要となります。このあたりの書き方については、アドバイスをいただいた先生に見てもらいました。法律に詳しくないと難しく感じたことの1つです。

印鑑を作る

 定款の作成と同時に進めなければならなかったのが、法人印を作ることでした。いつどんなタイミングで印鑑が必要になるのかわからないままでしたが、丸い法人印を作りました。ネットで調べると、「当日発送法人印3点セット」など、たくさん出てきました。どんな印鑑が必要となるのか、見当もつかず、ともかく丸型の法人印を作りました。確かに安くすぐに作って送ってくれました。

 後日、結局、法人の銀行印が必要となりましたし、何かと書類には角印があったほうがそれなりの格好がつくことがあり、結果的に3点を作ったことになります。やはり日本は印鑑社会だなと感じました。でも印鑑が出来上がると、法人の実体が感じられるような気がして、身が引き締まりました。

定款の認証を受ける

 定款が一応できたら、公証人の「認証」を受ける必要があります。これをしないと、定款が効力を持ちません。まず公証人役場に連絡して、書類などを点検してもらいます。公証人役場に出向く際に全員で行かない場合には、委任状などの書類も必要になりますし、実印の押印や契印(2枚以上の書類が続く際に、両ページにまたがって押す印鑑のこと)も必要になります。定款に契印を押すと言われても、実際にどうするのかよくわからなかったため、点検の際に教えてもらいました。経験がないと、本当に1つひとつ、わからないことばかりです。

電子定款を作る

 また私たちの場合、電子定款を作ることにしました。その方が印紙代4万円を節約できると思ったからなのですが、実は一般社団法人は紙の場合でも印紙は必要なかったようです。

 ともかく、自分のPCで作った定款に電子署名をして、それを「登記・供託オンラインシステム」を経由して定款ファイルを公証人宛に送る、というプロセスです。Adbe Acrobatを買って電子署名の設定をしましたが、これが結構すんなりとはうまくいかず、手伝ってくれた夫が苦労していました。最終的には、マイナンバーカードを使って、電子署名をすることになります。

 このあたりの仕組みについては、公証人役場で教えてもらった新宿公証人役場のWEBサイトのケーススタディに詳しく書いてあります。

www.shinjuku-notary.com

公証人役場で認証を受ける

 いよいよ公証人役場で定款の認証を受けますが、事前に電子定款を「登記・供託オンラインシステム」を通して公証人に送り、予約した日に残りの紙の書類も持参して、認証を受けます。当日、理事が全員で出向くことができないことがほとんどだと思います。私たちの場合も私だけが出向きましたので、その場合、委任状が必要となり、それぞれの書類に押印が必要となります。それも実印が必要であれば印鑑証明書が必要になります。事前にネットで色々情報は得ていたものの、なかなか完璧な情報が得られたことはなく、結局、事務所で書類を見てもらって、確認するしかないと感じました。

 予約日に公証人役場に向かいました。3人の公証人の方の合同役場です。私は以前自分たちの遺言書や知り合いの方の遺言書の作成などでこの役場に来たことがあり、今回は3回目です。昭和レトロっぽい役場ですが、ひっきりなしに依頼者のような人々が訪れます。少し私も緊張して待ちましたが、公証人に呼ばれて、法人の設立の確認があり、しばらく待って、電子定款を持参のUSBに入れてもらいました。また紙の謄本も3通、受け取りました。

 法人設立の第一段階が終了しました。法人設立を司法書士事務所などに依頼することもできたのかもしれませんが、自分でここまでしてみて、ようやく仕組みや内容について理解できました。今後のことを考えると、役に立ったのかなと思っています。

 まだ次の登記の段階があります。それはまた次の記事に投稿します。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加